ペットロスとの向き合い方
ペットを亡くしたあとの悲しみは、異常な反応ではありません。起こりうる心と体の変化、専門家に相談したほうがよい目安、相談先を整理しました。
ペットを亡くしたあと、涙が止まらない、食欲がない、眠れない、何も手につかない。こうした反応は異常ではありません。喪失の直後に起きる「急性グリーフ反応」として医学的にも知られているもので、多くは時間とともに和らいでいきます(アイシークリニック)。
この記事では、何が起こりうるのか、どこからは専門家に相談したほうがよいのかを整理します。「早く立ち直る方法」を書いた記事ではありません。
起こりうる変化
心に現れるもの: 不安、孤独感、集中力の低下、罪悪感、怒り、「あのときこうしていれば」という後悔の反芻。
体に現れるもの: 涙が止まらない、食欲の変化、睡眠障害、頭痛、肩こり、めまい、吐き気、腹痛。
体の症状は「気のせい」ではなく、強いストレスによって自律神経のバランスが乱れることで実際に起こります(同上)。
悲しみは段階を順番に進むわけではない
悲嘆の過程を「否認・怒り・取り引き・抑うつ・受容」の5段階で説明するモデルがよく知られています。ただし、これは理解のための枠組みであって、この順番どおりに進むものでも、全員が全段階を通るものでもありません。
受け入れられたと思った翌日にまた涙が出る、怒りと後悔を行き来する。そうした揺り戻しは、後退ではなく普通のことです。
特有のつらさ:周囲に理解されにくい
ペットロスには、人を亡くした場合と違う難しさがあります。「たかが動物」「また飼えばいい」と言われる。職場を休む理由として認められない。悲しむことそのものを、社会的に認めてもらいにくい。
この「悲しんでよいと認められない感覚」が、悲嘆そのものより人を追い詰めることがあります。もしそうした言葉に傷ついているなら、あなたの反応がおかしいのではありません。
専門家に相談したほうがよい目安
多くの場合、悲嘆は時間とともに落ち着いていきます。ただし次のような場合は、我慢せず専門機関に相談してください。
- 1か月以上経っても症状が続き、日常生活や仕事に支障が出ている
- 6か月以上経っても悲しみが和らがない(複雑性悲嘆と呼ばれ、うつ病の診断基準を満たす場合があります)
- 「生きている意味がない」といった考えが浮かぶ
出典: アイシークリニック
3つ目に当てはまる場合は、目安の期間を待たず、すぐに心療内科・精神科に相談してください。
相談できるところ
- 心療内科・精神科 — 上記の目安に当てはまる場合
- かかりつけの獣医師 — グリーフケアに取り組む動物病院が増えています。最期を一緒に看てくれた相手だからこそ話せることがあります
- 公的な相談窓口 — お住まいの自治体の精神保健福祉センター、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)
- ペットロス専門のカウンセリング — 臨床心理士やカウンセラーによるグリーフカウンセリング
自分に対してできること
回復を急がせる方法ではなく、消耗を減らすための、ごく基本的なことです。
- 食べる・寝るを最低限確保する。体が弱ると気持ちはさらに下がります
- 話せる相手を1人見つける。分かってくれない人に話すと、かえって傷つくことがあります
- 葬儀や供養という区切りを持つことが助けになる人もいます(供養の選択肢)
- すぐに片づけない。おもちゃや食器を置いたままにしておいて構いません。片づける時期は、自分で決めてよいことです
「もっとしてあげられたのでは」という後悔は、ほとんどの飼い主が抱きます。それは、その子を大切にしていたことの裏返しでもあります。
このページは一般的な情報を整理したもので、診断や治療にかわるものではありません。つらさが続くときは、専門家に相談してください。